風呂上がり、暑くてベランダに出た。
春の涼風が気持ち良い。
周りは見渡す限りマンションばかり。
そんな殺風景な光景も今日はなんだか違って見える
あの窓は白い
あっちはオレンジ
こっちは青くて、そっちは緑
よく見ると窓によって漏れている灯りの色が違う
「もう何年も住んでるのに、こんな風に景色を見てなかったな」
そんなことを想いながら、
「そう言えば、人の悩みも相談者にこんなように見えたときが解決の始まりだよな」
そんな言葉が自然に心の中に響く。
普段と同じ景色が、いつもとは何か違う色合いで見えてくるようになる。
それこそが心理カウンセラーの仕事。
相談室を出て、今までと変わらない世界に戻ったとしても、そこに感じるのはもう違う世界。
「じゃあ心理カウンセリングっていうのは人の心に色を取り戻す仕事ってことか」
そんな風に思えると、何か秘密の宝物を手に入れたみたいな、ちょっと嬉しい気持ちになった。
明日はどんな色が待ってるのだろう。